建設業に携わる中で、仕事の幅を広げるためには建設業許可の取得が必要になります。
建設業許可の取得にはいくつかの条件があり、その中に「国家資格を有した専任技術者がいること」が1つの条件となっています。
本記事では、国家資格を持っている人がいない会社が、建設業許可を取得するためにはどうしたらいいかを解説していきます。
国家資格者がいない場合は建設業許可を取得できないのか?
建設業許可を取得するためには、国家資格を有した専任技術者がいることが条件としてありますが、国家資格を有する人物がいない場合でも一定の条件を満たせば建設業許可を取得することは可能です。
そのためには「一定以上の実務経験を持つ人材がいること」が必要です。
実務経験の期間については、一般建設業と特定建設業とで条件が異なります。
また、国家資格を有した専任技術者の有無以外でも条件があるため、その点も認識しておく必要があります。
その他の条件
建設業許可を取得するためには、国家資格を有した専任技術者がいることが条件にありますが、それはあくまで複数ある条件のうちの1つに過ぎません。
その他にも、以下の条件も満たす必要があるのです。
資格の有無や実務経験の有無以外の条件もあるため、注意しましょう。
- 経営に関する管理責任者がいること
- 安定した財政基盤があること
- 契約に対して誠実に履行すること
- 欠格要件に該当しないこと
- 社会保険に加入していること
上記の項目のうち、1つでも満たすことができなければ建設業許可の取得はできないので、申請する際はそれらをしっかりと証明できる書類を用意する必要があります。
建設業許可の取得条件に関して詳しく知りたい人はこちら
実務経験で証明する際の必要要件とおよその取得日数
建設業許可の取得条件である、国家資格に代替するための実務経験は「一般建設業」と「特定建設業」によって条件が異なります。
それぞれどのような条件になっているのかを解説します。
一般建設業許可の場合の必要な実務経験
一般建設業許可の場合は、以下の3通りの条件が存在します。
- 指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
- 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
このように、卒業した学校の種別によって条件は変わりますが、指定学科修了者の場合は3年以上、もしくは5年以上の実務経験が必要とされています。
一方で、指定学科を修了していない人の場合は10年以上の実務経験が求められます。
指定学科の一覧については以下からご確認ください。
特定建設業許許可の場合
特定建設業許許可の場合は、以下の2通りの条件が存在します。
- 指導監督的実務経験を有する者
- 大臣特別認定者:建設省告示第128号(平成元年1月30日)の対象者
特定建設業許許可の場合、一定の実務経験を積んだとしてもその上で特定の条件を満たさなくてはいけません。
詳しくは上記で参考にしている国土交通省のサイトを参照ください。
国家資格保持者が退職した場合の変更方法
国家資格保持者がいて無事に建設業許可を取得した場合でも、注意しないといけないことがあります。
それは、資格の保持者が退職する場合です。
国家資格保持者が退職する場合、代わりとなる人材を用意する必要があります。
代わりとなる人材に関しても、上記で紹介した条件が必要となりますが、そういった人材は業界内でも貴重な存在であるため、すぐに見つかるものではありません。
国家資格の保持者は簡単には代わりが見つからない貴重な人材であるため、退職されないように注意する必要があります。
退職前に所定の手続きが必要
また、とても重要な点なのですが条件を満たした人材の変更手続きは、退職後にはできないという点です。
資格を有した人材が退職してしまっては、建設業許可を満たす条件が失効されたと判断され、許可自体が廃業扱いになってしまいます。
そうなってしまうと、新たに代わりの人材が見つかったとしても1から建設業許可の申請を行わなくてはいけません。
初回の申請と同様の書類を用意する必要があり、とても大変な手間になってしまうため、資格保有者が退職する際は必ず退職前に手続きを済ませるようにしましょう。
まとめ
建設業の許可は取得条件が厳しいですが、取得しているのとしていないのでは受けられる仕事の幅が異なります。
国家資格を有する、もしくは一定以上の実務経験を持った人材は貴重ですが、許可を取得しようとすると必ず必要になってくるため、早めに人材の確保を検討しましょう。
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