建設業許可を受けるための「誠実性と欠格要件」
欠格要件の対象者
欠格要件の対象者は、法人にあってはその法人の役員等、個人にあってはその本人、その他建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店長、営業所長等)です。
※「役員等」とは
業務を執行する社員、取締役、執行役もしくはこれらに準ずるもの(法人格のある各種の組合等の理事等(執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等を除く。))又は相談役、顧問その他いかなる名称有するものであるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものをいう。
上記の「役員等」以外にも支配力を有するものとして以下の者があげられます。
- 総株主の議決権5%以上を有する個人の株主
- 出資の総額5%以上に相当する出資をしている者
- 令3条に規定する使用人
「誠実性」とは
建設業許可では法人・役員等、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店長、営業所長等)に「誠実性」が求められます。
具体的には請負契約に関し、「不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかな者ではないこと」が必要です。
ここでいう「不正な行為」とは『請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為』であり、「不誠実な行為」とは『工事内容、工期等、請負契約に違反する行為』をいいます。
実際の事例として、建築士法、宅建取引業法など他の法律で不正、不誠実な行為をしたことで免許等を取り消されてから5年を経過していない者、暴力団関係者が「誠実性」がないと認定されています。
「欠格要件」とは
「誠実性」の要件を満たしていたとしても、次の欠格要件に該当してしまうと許可が受けられません。
- 許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。
- 法人にあってはその法人の役員等、個人にあってはその本人、その他建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店長、営業所長等)が次の要件に該当しているとき。
①成年後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
(法務局で発行される登記されていないことの証明と本籍地で発行される身分証明書が必要になります)
②不正の手段で許可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
③②に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、届出から5年を経過しない者
④建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼす恐れが大であるとき、あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しないもの
⑤禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑥建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち、政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑦暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(⑧において「暴力団員等」という)
⑧暴力団員等がその事業活動を支配する者
建設業許可を取得後に上記に該当していたことがわかった場合には許可が取り消されます。
欠格事由により許可されない事例が増えています
許可申請書に虚偽の内容を書いたり、重要事項を書かないことで欠格要件に該当してしまう事例が多く見られます。
これは、本人が故意にというわけではなく該当しないと勘違いしていたり、忘れていたりという場合があるからです。
例えば、傷害で罰金刑を受けていたのに、略歴書の賞罰に「なし」と書いて虚偽の内容となってしまったり、他社で専任の宅地建物取引士として名義貸しをしていたのを忘れていて書かなかった場合に重要事項を書かなかったとされるなどです。
この場合、虚偽申請として許可の取り消し処分とされてしまうと、会社も、その時の取締役全員も欠格要件に該当してしまいますので建設業許可が5年間申請できなくなってしまいます。
最近注意する必要があるのが、マイナンバー制度違反です。
正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報ファイルを提供した場合は罰金又は懲役になりますので、欠格要件の禁錮以上の刑に該当してしまいます。