建築一式工事の建設業許可

建築一式工事(建築工事業)とは

建築一式工事は「原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事であり、複数の下請け業者によって施工される大規模かつ複雑な工事」です。

つまり、建築一式工事は建築物を建設する全体をマネジメントするもので、元請けのための許可とも言えます。そのため、元請として請け負った建築一式工事のみが実務経験の対象となります。

また、東京都では建築一式工事の実績として認められる工事を建築確認が必要な工事としています。(建築確認が不要な工事は建築一式工事ではなく主となる専門工事になります。)

建築一式工事の実績として認められる工事
建築確認が必要な新築工事
建築確認が必要な増改築工事

建築一式工事は原則として元請けの立場での工事ですが、例外があります。
例えば、複数の分譲住宅建築を請負った元請業者(ハウスメーカーなど)から、そのうち一棟の建築を請負う場合は下請けの立場での建築一式工事となります。

建築一式工事の建設業許可は万能ではありません。

建築一式工事の建設業許可を取得すれば、建築系工事であればどんな工事も請け負えると誤解されていることがあります。

建築一式工事の許可を持っていても、各専門工事の許可がなければ500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできません。
例えば、「〇〇邸内装改修工事」であれば「内装仕上工事」に該当し、建築一式工事の許可のみでは請け負えません。
請け負うためには「内装仕上工事」の建設業許可を取得する必要があり、許可を取得することができなければ許可を持っている下請け業者に請け負わせる必要があります。※一括下請負(いわゆる丸投げ)は禁止です。

自社施工の例外

建築一式工事で請け負った工事の内容である「専門工事、または附帯工事」については、自社に「専門技術者」がいれば500万円以上の専門工事を自社施工することができます。

「専門技術者」とは主任技術者になれる要件(専任技術者と同じ)をすべてみたしている技術者のことをいいます。

建築一式工事の建設業許可に必要な要件

建築一式工事の建設業許可を取得するためには経営業務の管理責任者、専任技術者になれる人材がいること、財産要件を満たしていること、誠実性があり、欠格要件に該当しないことです。

以下で具体的に見ていきましょう。

建築一式工事における経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者とは許可を受けようとする建設業の業種に関し5年以上の経営経験があるか、許可を受けようとする建設業以外の業種に関し6年以上の経営経験がある人材のことです。

ここでいう経営経験とは常勤の役員、個人事業主などの立場で建設工事を請負った経験であり、建築一式工事の場合、建築確認が必要な新築、増改築工事を元請業者の立場で請負った経験になります。

建築一式工事ならば5年、それ以外の工事(例えば内装仕上げ工事など)ならば6年の工事請負経験が必要となります。

よくある質問で、不動産会社を5年以上経営してきたので経営業務の管理責任者になれますか?というものがあります。
この場合、不動産会社を何年経営してきたとしても建築確認が必要な新築、増改築工事を請負ってきた経験がなければ建築一式工事業の経営業務の管理責任者の要件を満たすことができません。

ただ、リフォーム工事を手がけている場合は「内装仕上工事」の経験で6年以上または「建築一式工事」と「内装仕上工事」の経験を合算して6年以上の経験があれば経営業務の管理責任者の要件を満たせる可能性があります。

また、工事を請負った期間は請負契約書、注文書、請求書と入金が確認できる通帳などで証明する必要があり、東京都の場合、期間通年分が必要となります。
(例えば、工期が1ヶ月の請負工事であれば12件で1年分の証明、それが5年または6年分必要)

建築一式工事における専任技術者

専任技術者は営業所に常勤で職務に従事する必要あり、一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。
特定建設業許可のほうが要件が厳しくなります。

一般建設業許可の専任技術者

一般建設業許可の専任技術者になるには次のいずれかの要件に該当する必要があります。

  1. 建築学または都市工学に関する学科の高校を卒業していれば5年以上、大学を卒業していれば3年以上の実務経験を有するもの
  2. 建築工事に関し、10年以上の実務経験を有するもの
  3. 上記と同等以上の知識、技術、技能を有すると認められたもの(資格取得者)
一般建設業許可で専任技術者になれる資格
一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(建築)
一級建築士
二級建築士

特定建設業許可の専任技術者

特定建設業許可の専任技術者になるには次のいずれかの要件に該当する必要があります。

  1. 以下の資格を有するもの
特定建設業許可で専任技術者になれる資格
一級建築施工管理技士
一級建築士

 

(国土交通大臣が認めたものという要件もありますが特殊なのでここでは割愛します)

建築一式工事は指定建設業許可7業種に含まれるので、特定建設業許可の専任技術者になるには上記に上げた一級の資格を有するものだけが該当します。

専任技術者の要件を満たせているかは確認資料で証明する必要があります

国家資格者であればその合格証、免許証。
実務経験で証明するなら建築一式工事をしていたことが明確に分かる工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書及び入金が確認できる預金通帳などが必要です。

誠実性

建築一式工事の建設業許可を取得する要件の「誠実性」とは法人の役員、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店長、営業所長等)が不正な行為、不誠実な行為をするおそれが明らかでないということです。

「不正な行為」とは請負契約の締結または履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為
「不誠実な行為」とは工事内容、工期等、請負契約に違反する行為

財産的基礎

建築一式工事の建設業許可を取得するためには以下の財産要件を満たす必要があります。

一般建設業許可の場合

次のいずれかに該当すること
1 自己資本が500万円以上あること。
2 500万円以上の資金調達能力があること。
3 直前5年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在東京都知事許可を有していること。(東京都の場合)

[自己資本」とは、法人では貸借対照表「純資産の部」の「純資産合計」の額をいい、個人では期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主借勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。
「資金調達能力」については取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書(証明日から1ヶ月以内有効)で証明します。

特定建設業許可の場合

次の全ての要件に該当すること
1 欠損の額が資本金の20%を超えないこと。
2 流動比率が75%以上であること。
3 資本金が2,000万円以上あること。
4 自己資本が4,000万円以上あること。

欠損の額(欠損比率)が資本金の20%を超えないかは次の計算式で確認します。
(法人)繰越利益剰余金の負の額ー(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く))÷資本金×100≦20%
(個人)事業主損失(事業主借勘定ー事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)÷期首資本金×100≦20%

繰越利益剰余金がある場合や資本剰余金(資本剰余金合計)、利益準備金及びその他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計が繰越利益剰余金の負の額を上回る場合には要件をみたしているので計算式を使う必要はありません。

流動比率が75%以上であるかは次の計算式で確認します。
流動資産合計÷流動負債合計×100≧75%

申請手数料

新規で許可申請する場合の申請手数料は以下のうようになります。

東京都知事許可   9万円
国土交通大臣許可 15万円